愛がなんだ
ちっこくて、猫背で、安い海老フライみたいに細い、いけてないおれさま男
田中守にどうしようもなく恋をしてしまった山田テルコのおはなし。
はじめは知り合いのパーティで出会って、
その後友達以上恋人未満な関係がつづき、
相手に気に入られるように、つかず離れず、でしゃばらず、
ひたすら田中守からの連絡を待ちつづけて、
連絡があれば友達の誘いをドタキャンしてもすぐ駆けつけ
彼女にしてもらえるのをじっと待つという
わたしにも身に覚えがあるような恋愛だったのが、
次第にどんどんエスカレートしていき、
ついには田中守に尽くしまくるあまりに、会社をクビになっても
「マモちゃんのために自由に動けるようになってよかった!」と喜ぶ始末。
でもどんなに尽くしても「都合のいい女」でしかない。
最後には好きな女を紹介され、その女との仲をとりもちつつ、
どうしても田中守のそばに居たくて、彼の友達に惚れたふりをするテルコは
もう痛い、というよりなんかすごい。すごすぎる。
そこまで見返りを求めない「好き」という感情って、どこからやってくるのだろう?
どこでスイッチが入ってしまうのだろう?
「理解できない」と思いつつこんなにも夢中になって読んでしまうのは
今、好きな人がいつでもとなりにいる状況のわたしでも
なにかのきっかけがあればこういう風になってしまうかもしれない、
とリアルに感じさせる角田作品独特の恐怖感を
今回もしっかり味あわってしまったからなのだろう・・・。
角田光代の描く人々はいつだって遠いようで、近いのだ。


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